京都市右京区の嵯峨清滝から入山できる愛宕山にある廃墟のことで、愛宕神社へと向かう登山道の途中から行くことができる有名な場所です。
愛宕山ケーブル駅は愛宕山遊園地へ行くために交通機関として昭和4年(1929)に開業され、ケーブル清滝川駅から約15分で愛宕山駅舎まで行けたと言われています(歩くと2時間以上)
愛宕山遊園地一帯は世界恐慌、さらに昭和16年(1941)以降の第二次世界大戦のための金属回収令(戦争に使うため金属を全国から回収)によって、鉄道の金属類が回収され戦争末期の昭和19年(1944)配線となり、それから約80年の時を経て新たに廃墟として密かな人気スポットとして注目をされています。
愛宕神社は日本各地に数多く存在しますが、今回ご紹介する愛宕山は京都市の西側、嵐山近くに位置しています。
標高は924mで、山頂は全国に約900社ある愛宕神社の総本宮です。
愛宕山の千日参りは毎年7月31日から8月1日にかけて行われ、その期間中に参拝をすると防火や火伏のご利益が千日分受けられると言われています。
この愛宕神社に祀られている神様は火伏せや防火に霊験がある神様ですから、お参りされた方の家庭の台所や飲食店の厨房に火伏せ札が貼られていると思います。
愛宕山ケーブルとは——高低差638m、当時の日本一
いま廃墟として残っているのは、愛宕山鉄道鋼索線の山上駅舎です。
この路線、数字を見ると驚きます。
| 内容 | |
|---|---|
| 区間 | 清滝川駅 〜 愛宕駅 |
| 距離 | 約2.1km |
| 高低差 | 638.83m |
| 所要時間 | 約15分 |
| 開業 | 昭和4年(1929年)7月 |
| 廃止 | 昭和19年(1944年)2月 |
営業距離は当時の日本一。「東洋一」とも呼ばれていました。
歩けば2時間以上かかる山道を、15分で上がっていたことになります。
しかも愛宕山鉄道には、もう一本ありました。嵐山から清滝までの約3.4km、平坦線です。電車で清滝まで来て、ケーブルに乗り換えて山頂へ。そういう動線が昭和初期に作られていました。
山の上に、ホテルと遊園地と飛行塔があった
ケーブルを敷いたのは、参拝のためだけではありません。山の上を行楽地にするためでした。
開業の翌年、昭和5年(1930年)に愛宕山ホテルと愛宕山遊園地ができます。
遊園地には飛行塔がありました。腕の先に乗り物をぶら下げて回る、あの塔です。標高900mの山の上に、それが立っていたことになります。
ほかにも、山上にはスキー場とテント村。麓の清滝には清滝遊園地。
京都の西の山が、まるごとリゾートだった時期があるわけです。
いま登っても、山頂には神社と木しかありません。想像するのが難しいくらいです。
なぜ、たった15年で終わったのか
開業が昭和4年。廃止が昭和19年。15年しか動いていません。
理由は戦争です。
昭和16年(1941年)以降の金属回収令で、レールや設備の鉄が供出の対象になりました。不要不急の路線とされ、鋼索線は昭和19年2月に廃止。平坦線も同じ年の12月に廃止されています。
そして戦後、どちらも復活しませんでした。ホテルも遊園地も、そのまま閉じたままです。
廃線になってから、もう80年以上経っています。
愛宕山の行き方
公共の交通機関で行く場合は問題ないのですが車で行く場合はナビゲーションの行先を愛宕山で設定すると思ってた登山口じゃない場合があるので要注意です、清滝ルートから行く場合は愛宕念仏寺を目指して行きます。
愛宕念仏寺を通り越して、清滝トンネルを抜けた先で二の鳥居が見えたら右手側に行くと「清滝さくらや青木駐車場」という有料駐車場があります。
ちなみに清滝トンネルは京都の心霊スポットで全国的にも有名です。
一説には京都で最恐最悪の魔界といわれているので、廃墟と清滝トンネルは両方で行くべき場所かと思います。


電車とバスで行く場合
車の行き方は下に書きますが、公共交通機関のほうが楽です。駐車場の心配がいりません。
どちらの駅からも、京都バスで清滝まで行きます。
| 出発 | 経路 | 時間 | 運賃 |
|---|---|---|---|
| 阪急 嵐山駅 | 駅前ターミナルから京都バス「清滝」行き | 約17分 | 230円 |
| JR 嵯峨嵐山駅 | 徒歩7分で「野々宮」バス停、そこから清滝行き | 約16分 | 230円 |
終点の清滝で降りると、登山口はすぐそこです。
バスは本数がそれほど多くありません。帰りの時刻を先に確認しておくと安心です。山を降りてから1時間待つことになると、けっこうこたえます。
往復の時間と、持っていくもの
ここは正直に書きます。これは登山です。
標高924m。清滝の登山口からの高低差は、だいたい800m以上あります。
| 時間の目安 | |
|---|---|
| 清滝 → 山頂(愛宕神社) | 2〜3時間 |
| 山頂 → 清滝 | 1.5〜2時間 |
| 駅舎跡の見学 | 1時間ほど |
| 合計 | 5〜6時間+α |
朝のうちに登り始めてください。夕方に出ると、下りで日が暮れます。
持ち物です。
- 登山靴かトレッキングシューズ——スニーカーだと下りで滑ります
- 水——途中に自販機はありません。夏なら1.5L以上
- ヘッドライト——廃墟の中は暗いです。暗くなったときの保険にもなります
- 手袋——がれ場や崩れた場所に手をつくことがあります
- 上着——山頂は麓より5〜6度低いです
- 地図かGPSアプリ——これは後の章で
トイレは登山口と、途中の休憩所にあります。山頂にもあります。
愛宕山登山、廃墟へ
清滝トンネルを越えて、愛宕山登山口へ、そうなんです、廃墟に行くためには登山が必要なのです。
標高924mの山です、往復で約5~6時間かかりますし廃墟での滞在時間を考えたら+1時間は見ておきたいです。
廃墟目的とは言え、せっかく愛宕山に来たのならば山頂目指しお参りしてから清めた気持ちで廃墟に行きましょう。
登山口からしばらく歩くとケーブルカー跡が目に入ります、そのケーブルカー跡を進めば最短距離で廃墟まで行けますが、このルートはお勧め出来ません。


ケーブルカー跡の道は、コンクリートが劣化した橋があり、劣化したトンネルの中を歩くこともあります、携帯の電波も入らない場所もあり、そもそも登山道ではないので道全体が劣化しているので非常に危険ですので、カーブルカー跡の道を行くのは止めて、ノーマルな登山道を歩きましょう。
写真をみて、『お前も行ってるやん!!』っと言うツッコミも有るかと思いますが、行ったからこそ、このルートの危険度を肌で感じました、遭難しても見つけて貰えない可能性が高いです。
少なくとも学術的好奇心で行くのであれば、山岳ガイド等、山の専門家と行く事を検討して下さい。
ノーマルな登山道は整備されており非常に歩きやすいです、殆どが階段状になってます。
しかし、最初から坂道は続きますから普段からスポーツをしてない人は結構キツイです、登山のスタートでの服装はコールドスタートと言って薄着でスタートとします。
スタート時点で寒い場合でも歩き出すと一瞬で暑くなるので薄着で大丈夫です。
そして登山道口から山を登り2時間前後で、水尾わかれ休憩所へ着きます
そこから少し登ったら道から逸れ、右手へと続く細い道の先に廃墟の駅舎が見えてきます。




しかし、ほぼ目印がない箇所を曲がるので、道らしい道はわずかに残っている程度で、曲がる場所を間違えると遭難する恐れもあるので、自信がない場合は行かない方がいいです。
行く前に、これだけは読んでください
駅舎跡へ向かう道は、正規の登山道ではありません。
愛宕神社への表参道から逸れて、踏み跡をたどることになります。道標はありません。
書いておきたいことが4つあります。
- 地図アプリを入れておく——ヤマップやヤマレコなど。電波が届かない場所でも、ダウンロードしておけば現在地が出ます。これが一番の保険です
- 一人で行かない——道を外れたとき、一人だと判断が鈍ります
- 建物の中は崩れています——80年経ったコンクリートです。床が抜けている場所もあります。無理に奥へ入らないでください
- 引き返す勇気——分岐を過ぎたと思ったら戻る。進みながら探すのが一番危ないです
それと、当たり前のことですが、何も持ち帰らない、何も置いていかない。
ここは誰かの思い出の場所です。落書きや破壊が増えれば、立入禁止になります。実際にそうなった廃墟をいくつも知っています。
いつ行くのがいいか
四季それぞれに違う顔をしますが、強いて選ぶなら秋です。
コンクリートの灰色と、紅葉の赤。このふたつは相性が良すぎます。
時期の目安を書いておきます。
| 季節 | 様子 |
|---|---|
| 春 | 新緑。登りやすい気温。人も多い |
| 夏 | 暑いです。虫も出ます。山頂は涼しい |
| 秋(11月ごろ) | 紅葉。いちばんおすすめ |
| 冬 | 雪が積もります。装備がないと危険 |
冬の愛宕山は、麓が晴れていても山頂は雪、ということがあります。アイゼンの用意がないなら、無理をしないでください。
時間帯は、午前中が静かです。午後になると参拝の人が増えます。
まとめ
ポイントは、水尾わかれ休憩所からしばらく(感覚的には2~3分)登った道から逸れて、2分前後歩くと右側に崩れたコンクリートブロックの様な物を見つけたら、その道で合ってます、そのまま歩いて行けば廃墟に出会えます。
もし 31/40 の看板を目にしたら行き過ぎなので戻りましょう。
駅舎の廃墟に出会えたら、向かいの山手の部分をチョッと上ると「愛宕山ホテル跡」「愛宕山遊園地跡」などの廃墟も合わせて見れます。


この場所は以前は口コミでしか知られて無かったですが今ではネットやTVで有名になりました。
現在は廃墟前に看板も設置されてるので京都市も公認の観光地になったようです。


この場所は春夏秋冬、どの季節に来ても感極まる場所です、わたしは全ての季節は勿論の事、夜にも来てその姿を見守っています。
しかし個人的には廃墟と秋の紅葉が一番相性が良いような気がします。
廃墟=心霊スポットみたいに思う人も居ますが、わたしはチョッと違うとかなと思います。
廃墟とは適切な管理者が居なくなった建物・建築物で年月と共に人々に忘れられた結果残った物体を指す言葉です。
また、よく似た言葉で遺跡がありますが、遺跡とは過去の建物・建築物を忘れられないように管理している物です、あくまで個人的見解ですが。
廃墟も遺跡にしても、その場所で過去には人々が生活を営んでたはずなので、その方々にとっては思い出の場所のはずです。
そんな思い出の場所なので、心霊スポットとは一線を引く考えです。
廃墟については『生ける廃墟・池島は次世代の軍艦島、ビッグサンダー・マウンテンより楽しい池島の炭鉱列車!』でも解説してます。
廃墟・近代遺産の記事
同じころに撮った写真の記事です。よかったらこちらも。
- 『池島』——生ける廃墟、次世代の軍艦島
- 『四日市コンビナート』——三重県の隠れた工場夜景
- 『ウラジオストク』——近くて遠い、極東のヨーロッパ
写真のほかに、物語の考察も書いています
音羽はこのブログで、小説や映画の考察記事も書いています。読んだあと・観たあとに引っかかったものを、そのまま文章にして、そこから曲も作っています。写真とはまったく別の話ですが、旅の移動中の読みものにでも。
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